2013年5月の時点で、施工会社・工務店様より連絡のあった、東日本大震災による当社外壁材の被害状況です。
震源地に近い一部の建物でレンガ・目地モルタルのひび割れが見られましたが、剥離・脱落などの深刻な例は報告されていません。今後も被害の正確な把握、原因と対策の検討を進め、より震災に強い外壁材として安心して採用いただけるように努めてまいります。
茨城県鹿嶋市
鹿島灘に近く、3/11は震度6弱のこの地域では、屋根の棟瓦の落下が多く見られます。2009年完成したこの建物は、外壁の出隅役物のひび割れ、開口部周りの目地割れが見られました。
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原因の推定
この建物の外壁は外断熱工法が採用され、レンガは柱等の駆体から100mm程度外側に取り付けられています。そのため駆体とレンガの揺れに「ずれ」が生じ、隅や開口部周囲でレンガに力が集中し、ひび割れが生じたと考えられます。
外断熱工法
柱や壁の外側に断熱材を張り付ける工法、柱等で区切られる「充填断熱」と比べ、隙間が生じ難く、断熱効果を高められる一方、重量のある外装材の取り付けには配慮が必要です。
茨城県つくば市内
建物の四隅の基礎に接着剤を使用し、湿式で貼ったレンガにひび割れが見られます。
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原因の推定
基礎のコンクリート部(湿式)と、土台上部の木造部(乾式)にまたがったレンガが、上下で地震の揺れによる動きが異なるため、上部に引っ張られるかたちでレンガにひびが生じたものと思われます。
湿 式
セメントや接着剤を用いて、タイルやレンガをコンクリート・モルタル面に貼り付ける施工方式。従来から数多く採用されている。
乾 式
接着剤などを使わないで、金具やボード面にタイル・レンガを引っかける施工方法。目地などのモルタルを充填することが多い。
福島県いわき市内
太平洋を望む高台にあるこの住宅は、津波が庭まで来たようですが、幸い建物が高いところにあるため、建物本体の津波による被害は無かった様です。また、地震の揺れに伴う建物本体の被害は、室内の石こうボードにひび割れが入ったようですが、外壁のレンガについては剥離、落下など大きな被害は無く、乾式レンガ工法の耐震性を再確認したとのお話でした。(施工会社社長より聞き取り)
右奥が太平洋、奥に低い建物が見えます。
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